菅茶山顕彰会
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松風館十勝碑林には、3基の漢詩石碑が建立されています。
 
 詩碑と漢詩作者
 1「松風館即事」 菅茶山
 2「所見:夕日」 菅茶山
 3「河相保之松風館同菅禮卿賦」 頼春水
  
1.詩碑「松風館即事」 菅茶山
    松風館即事  
 黄葉夕陽村舎詩 前三―十五 

詩罷松窻夜幾更
()んで 松窓 ()(いく)(こう) 捲簾閑待柿歸鳴
(すだれ)
を捲いて (しず)かに柿帰(しき)の鳴くを待つ
隣燈有影樟陰黒
(りん)(とう) 影有りて 樟陰(しょういん)黒し
林雨將收竹氣淸
(りん)() 将に(おさ)まらんとして(ちく)()清し 
 大意
詩を吟じ終わって窓を見ると、枝ぶりのいい松が見え、夜もかなり更けているようだ。簾をまいて静かにホトトギスが鳴くのを待っている。
隣の部屋の行灯(あんどん)の光がクスの木をぼんやり照らしている。庭の林に降る
雨もようやくあがろうとしており、竹藪から清々しい気が感じられる。

2.詩碑「所見:夕日」 菅茶山
    所 見  
 黄葉夕陽村舎詩 前三ー四

落日殘紅在
落日 (ざん)(こう) ()
新秧嫩翠重
新 秧(しんおう) (どん)(すい)(かさ)なる
遥雷何処雨
遥雷(ようらい)(いず)れの(ところ)の雨ぞ

雲没兩三峰
雲は没す 両三(りょうさん)(ほう)
 
大意
 夕日が西の空を赤く染めている。野山の緑に囲まれた田圃の若苗の緑が目にしみる。遠雷の底鳴りはどこに雨を降らしているのだろうか。 あっという間に雲が広がって、二つ三つ峰を隠してしまった。

3.詩碑「
河相保之松風館同菅禮卿賦」 頼春水
 
 河相保之松風館同菅禮卿賦  頼春水  テキスト ボックス: 詩碑「所見」 河相保之の松風館に菅禮卿と(とも)に賦す

長松之下故人家
長松の(もと) 故人(こじん)の家

鳴玉溪流不覺譁
(めい)(ぎょく)の溪流 (かまびす)しきを覚えず

傳杯更愛幽香度
杯を伝え 更に愛す 幽香の(わた)るを

屋角微風橘柚花
屋角(おくかく)の微風 橘柚(きつゆう)の花 
  大意
大きな松の木の下に、古くからの友の家がある。屋舎にあがると玉を鳴らすような泉水がちょろちょろ流れているが耳障りにはならず、快い音色を響かせている。酒を酌み交わしていると、どこからか、ほのぼのとした得も言われぬ香が鼻をくすぐる。
さて、何のにおいだろう。家の屋敷の隅の方から吹く風にのってくる。ああ、橘柚の花の匂いだな。