「米山寺拝謁小早川中納言肖像」

一戦奇功仝列屯
想君軍隊立伝
画中冠帯英風在
馬上光陰華髪繁
先覩無援覇主
予防有計保宗藩
当時諸将争驍勇
興学誰知文徳尊

一戦奇功列屯を全うす
想う君が軍隊口立ちをつたへしを
画中の冠帯英風在り
馬上光陰華髪繁し
先ず覩(み)る(あやまる)無く覇主を授けしを
予防計有り宗藩を保つ
当時諸将驍勇を争う
興学誰か文徳の尊きを知らん
【大意】一戦(文禄の役)の策略は一団となって任務をまっとうした。君(隆景公)はひとり隊を立ち小飯の時を告げる。画中の冠と帯には立派な徳がみなぎり、戦場での歳月によって頭には白髪が増えている。隆景公を覇主としたことに過ちはなかっただろう、その予防策によって毛利の藩をまもったのだから。当時の多くの武将らは勇猛であることを競ったが学校を興し学問による徳の尊さに誰か気づかなかったものか。残念なことである。
【出展】『黄葉夕陽村舎詩』前編三-一七

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