「箱田道中」

經此山蹊歳幾回
毎將夜半始還來
行思往時停籃■
數點流螢水竹隈

此(この)の山蹊を経ること歳に幾回
毎(つね)に夜半ならんとして始めて還(かえ)り来る
行くゆく思う往時籃■(らんよ)を停(とど)めしを
数点流蛍水竹の隈(くま)

箱田…神辺町箱田
籃■…かご
※■は竹かんむりに擧

【大意】この山あいの道を年に幾度往来することか、いつも夜半近くなってから帰ってくる。以前はよくここでかごを留めて星の降るような蛍火を賞でた。つくづく回想していると、水辺の竹やぶの中から数匹の蛍が出て飛んでいった。
【出典】 『黄葉夕陽村舎詩』遺稿三−四所収

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