「農功」

農功五月急如弦
牟麥纔收已插田
一夜園林濯枝雨
猫児山下水涵天

農功五月 弦よりも急なり
牟麦(ぼうばく)纔(わず)かに収めて已に田に挿(さしは)さむ
一夜園林枝を濯(すす)ぐの雨
猫児山下水 天を涵(ひた)す

農功…耕作の仕事。農事。
弦…弓の糸。ぴんと張った緊張感を表す。
牟麦…大麦。
猫児山…神辺町川南にある王子山のこと。
下水…水を流す。

【大意】 五月の農事はたいへん忙しい。大麦を収穫したかと思うとすぐに田植えが始まる。一夜園林を雨が洗うと、猫児山のまわりの田は水を張り空を写している。
【出展】『黄葉夕陽村舎詩』前編二−五

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