「龍泉寺桜」

「龍泉寺桜」

老樹移來幾百春
年年麗艶占芳辰
林東有墓生苔蘇
曾是花前闘酒人
   菅 茶山

老樹移し来って幾百春
年年麗艶(れいえん) 芳辰(ほうしん)を占(し)む
林東墓有り 苔鮮(たいせん)を生ず
曽(かつ)て是(こ)れ花前酒を闘(たたか)わせし人

龍泉寺…神辺町川北にある
麗艶…うるわしくなまめかしいこと
芳辰…かんばしい春の時節
苔鮮…こけ

【大意】老樹を移し植えて春幾度、年々美しくあでやかなこと、この春をわが物顔に咲きほこっている。この花とはうらはらに、林の東には墓があり、こけが生えている。存命の頃はよくこの花の前で酒を酌み交わす相手であったのに。
【出典】『黄葉夕陽村舎詩』前編二−九

もどる