「高屋途中」(たかやとちゅう)

山雲半駁漏斜陽
樹蕭條十月霜
野店留人勧蕎麺
一籃銀縷出甑香

山雲半駁(はんばく) 斜陽を漏(も)らす
樹(こうじゅ) 蕭條(しょうじょう)たり十月の霜
野店人を留めて蕎麺(きょうめん)を勧(すす)む
一籃(いちらん)の銀縷(ぎんろう) 甑(こしき)を出でて香ばし

半駁…駁はまだらの馬、転じて雲がまだらにかかっている様子。
樹…一里塚に植えた樹木。
蕭條…もの寂しいさま。
縷…細い糸筋。ほそながいもの。

【大意】山雲がまだらにかかり、雲間をもれた夕陽がさす。一里塚の樹も十月の霜にいためられてすっかりさびれてしまった。その傍らの野店が旅人を呼び止めてそばを勧めている。甑の中から取り出した小さなざるの中のそばは銀糸に似てうまそうだ。
【出典】『黄葉夕陽村舎詩』後編二−一一

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