茶山ポエム絵画展              
 先生はたくさんの漢詩をつくりました。その中には暮らしの中の出来ごとや、四季おりおりの自然の様子を詠んだものがたくさんあります。茶山の詩はロマンにあふれています。現代の人に通じるリアルな描写があります。しかし、漢詩のままでは意味がわかりにくく、イメージもわきません。
 そこで、もとの漢詩の意味を大切にしながら、茶山先生の眺めた景色が小中学生の心に浮かぶような詩に書きかえ、「茶山ポエム」と名づけました。

 茶山ポエムを読んで心に浮かんだイメージを絵にしたのが「茶山ポエム絵画」です。

 茶山ポエム絵画は神辺町内の小中学校を中心に、近隣の学校、先生方の協力に支えられ、神辺の子どもたちの文化として定着し、発展しています。











菅茶山記念館で行われた
ポエム絵画表彰式のようす


絵画展のあゆみ
山ポエムのもとになった漢詩とはどんなものなのでしょうか

 この絵は「梅」という詩からイメージして描いた小学校4年生の作品です。
 「梅」という詩は、茶山先生が自分のつくったたくさんの漢詩をまとめた「黄葉夕陽村舎詩」(こうようせきようそんしゃし)という本の中にある「画山水」(がさんすい)という詩をもとにしたものです。

 ここで、もとの漢詩「画山水」と子ども向けになおした「梅」の詩を並べて紹介します。

 なお、「詩の意味」は島谷真三 北川勇 共著「茶山詩五百首」から転載しました

「画山水」  よみかた  詩の意味  「 梅 」
渓村三五戸 けいそん さんごこ
一向絶風塵
 
いっこう ふうじんをたつ
自種梅花後
 
ばいかをうえしのちより
春来引外人
 
しゅんらい がいじんをひく
谷間の三〜五戸の寒村、全く世外の仙境だ。
それが梅花を植えてからこのかた、春になれば方々から花見客を呼ぶ。
山の谷間の奥深く
小さい村があったんだ
家は四、五軒 さみしいな
だれも来ないよ さみしいな
ところが村人 梅の木植えた
それから後の 谷間の春は
花見の人で 大にぎわい
このような詩を読んで浮かんだイメージから絵をかきました。いま、茶山ポエム絵画のための詩は「梅」のほかに12首あります。そのおもなものを2001年度(第9回)の入賞作品から選んで紹介します。
茶山ポエム絵画紹介
賞梅 ちょう
ゆく春 花と和尚さん
ホタル 廉塾 夏の日
天の川 あさがお 朝景色
夕日 月を迎える 晩秋スケッチ
雪の日 冬夜読書 夕日
茶山ポエム絵画の紹介 
  幼稚園・保育所の部 最優秀賞

   
「ちょう」     
     
花の香りは すごいんだ
     ずっと遠くに
     すぐ 伝わってるぞ
     ほら ごらん
     あのちょういっぴき
     西から来たし
     このちょうひらひら
     東から来ただろう 

    「蝶七首」 黄葉夕陽村舎詩 後編八所収
   
   小学校1年の部 優秀賞

  
 「天の川」      
     
頭上にきらきら 天の川
     どこから来るのか このひかり
     となりの柳の こずえには
     雨雲どっかり 残ってるのに

    
   「雨後」 黄葉夕陽村舎詩 前編巻二所収
   
  小学校2年の部 最優秀賞
  
   
「 梅 」    
     山の谷間の奥深く
     小さな村があったんだ
     家は四、五軒  さみしいな
     だれも来ないよ  さみしいな
     ところが村人  梅の木植えた
     それから後の  谷間の春は
     花見の人で大にぎわい
    
   
   「画山水」 黄葉夕陽村舎詩 前編五所収
   
  小学校3年の部 最優秀賞
  
   
「夕 日」      
     夕日沈んだ 空まだ赤い
     たんぼの若苗
     萌え重なって
     どこかで雨か
     山のてっぺん 雲の中

   
   「所見」 黄葉夕陽村舎詩 前編八所収
   
   小学校4年の部 最優秀賞
 
    
「廉 塾」      
      庭をおおった 柳の木陰
      きれいな水が 流れる小川 
      弟子たちしずかに すずりを洗う
      すずしい瀬音が 聞こえてくるよ

    
    「即事」 黄葉夕陽村舎詩 後編四所収
   
   小学校5年の部 最優秀賞

  
 「雪の日」     
     北風ビュービュー
     雪花 吹きあげ吹きおろし
     うずまきつくって 空けける
     村のこみち カチンカチン
     霜のおけしょう
     昼なおくずれず

    
   「雪日」 黄葉夕陽村舎詩 遺稿二所収
   
 小学校5年の部 優秀賞

  「ゆく春」
    大川の雨 岸をうるおし
    若草びっしり背くらべしてる
    大川の風 落花にたわむれ
    はなびらほろほろ かけっこしてる
    千本万本 柳の糸が
    去り行く春をつないでも
    とどめることはままならず

    
    
「暮春」 黄葉夕陽村舎詩 前編七所収
   
 小学校6年の部 最優秀賞
  
 
 「冬夜読書」
   
ふりつむ雪が 山家をかこみ
   木々の影が黒く深い
   軒端の風鈴 ことりともしない
   夜はしんしん更けわたる
   静かん とり乱した書物を片付け
   ひとり疑問のことに思いめぐらせていると
   その昔の哲人たちの心が
   ひと筋の青白い灯の炎に
   照らし出されてくるようだ

   「所見」 黄葉夕陽村舎詩 後編巻三所収
   
  小学校6年の部 優秀賞
 
 
 「月を迎える」     
    山でお月さま お迎えしようと
    えっちらおっちら のぼり道
    もえる夕日が まぶしゅうござる
    やあれ来たぞと おお伸びすれば
    ねぐらへ急ぐ 鳥の背に
    あらら お月さま もう出てござる

   
  「所見」 黄葉夕陽村舎詩 前編巻二所収
   
  中学生の部(1年) 最優秀賞
  
   
「賞 梅
     
     流れに映った枝ぶりを
     近くで見るのはいいもんだ
     やぶのほとりの立ち姿
     遠くで見るのはもっといい
     四季とりどりにめぐるとも
     心満ち足る日はこの日
     ちらちら雪舞う野川のほとり
     梅を訪ねてそぞろ歩む日
    
   「 梅 」 黄葉夕陽村舎詩 後編巻二所収
   
  高校の部(3年) 優秀賞

  
「夕 日」    
    夕日沈んだ 空まだ赤い
    田んぼの若苗
    萌え重なって
    遠くで雷
    どこかで雨か
    山のてっぺん 雲の中

   
  「所見」 黄葉夕陽村舎詩 前編八所収
   
 高校の部(3年) 最優秀賞

  「ホタル」
    たそがれの 谷間にいっぱい
    ホタルが飛んで 乱れて飛んで
    岸辺も草も ホタル火 飾り
    笹の葉透かしピカピカ光る
    藤の葉とおしピカピカ光る
    歌をうたって山道歩こ
    暗くなっても心配ないよ
    ホタルの光で帰れるさ
    谷間にかかった 細い橋
    ホタルの光りで渡れるさ


   「蛍七首」 黄葉夕陽村舎詩 後編七所収