「黄龍山遍照寺」 |
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長松大石舊林邱 二十餘年感壑舟 嘆息當時携手者 幾人相對説曾遊 菅茶山 |
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【読み】 長松(ちょうしょう)大石 旧林邱(きゅうりんきゅう) 二十余壑舟(がくしゅう)を感ず 嘆息(たんそく)す当時手を携(たずさ)えし者 幾人か相対して曾遊(そゆう)を説(と)かん |
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【大意】 昔遊んだ林の丘や長い松、大きな石を見ていると、二十年以上経った今も変わらないことに感慨をおぼえる。だが、当時ともに吟遊した友は、ほとんど亡くなってしまった。こうして残った幾人かで、昔を懐かしく語り合おう。 【出展】『黄葉夕陽村舎詩』前編五-ニ |
「歳抄奇大空師」 |
![]() 神辺町東中条 黄龍山遍照寺 |
荒歳村居事亦紛 隣閭警盗譟宵分 遥知姑射峰頭月 寺寺經声咽白雲 菅晋帥 |
【読み】 荒歳村居事亦紛たり 隣閭盗を警(いまし)めて宵分(しょうぶん)に譟(さわ)ぐ 遥に知る姑射峰頭(ほうとう)の月 寺寺の経声(きょうせい)白雲に咽(むせ)ぶ |
【大意】今年は飢餓で村里は事が物騒なことだ。隣部落では泥棒の警戒に出てこの夜中に騒いでいる。はるか彼方、姑射峰の上には地上のことには、かかわりなげに月がかかっている。寺々の読経の声が白雲にむせぶように聞こえてくる。 【出展】『黄葉夕陽村舎詩』前編一-ニ一 |
大空師…遍照寺住職 荒歳…不作の年 閭…村里 紛…まぜかえす、物騒な 譟ぐ…騒ぐ 宵分…夜半 |
松 風 館 即 事 |
![]() 神辺町西中条 松風館十勝碑林 |
詩罷松窻夜幾更 捲簾閑待柿歸鳴 隣燈有影樟陰黒 林雨將收竹氣淸 |
【読み】 詩 |
【大意】 詩を吟じ終わって窓を見ると、枝ぶりのいい松が見え、夜もかなり、更けているようだ。 簾をまいて静かにホトトギスが鳴くのを待っている。 隣の部屋の行灯の光がクスの木をぼんやり照らしている。庭の林に降る 雨もようやくあがろうとしており、竹藪から清々しい気が感じられる。 【出展】『黄葉夕陽村舎詩』 前三―十五 |
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『 松風館十勝碑林しおり』から |
所見(夕日) |
![]() 神辺町西中条 松風館十勝碑林 |
落日殘紅在 新秧嫩翠重 遥雷何処雨 雲没兩三峰 |
【読み】 落日 遥雷 雲は没す |
【大意】 夕日が西の空を赤く染めている。 野山の緑に囲まれた田圃の若苗の 遠雷の底鳴りはどこに雨を降らしているのだろうか。 あっという間に雲が広がって、二つ三つ峰を隠してしまった。 【出展】『黄葉夕陽村舎詩』 前三ー四 |
遥雷・・・遠くで鳴る雷 |
『 松風館十勝碑林しおり』から |
「時子璐叔姪東遊」 |
![]() 神辺町西中条高井 松井氏宅 |
村居無判日相求 喜興群賢此宴遊 繞砌軽煙花影乱 隔簾古木鳥声幽 大杯令行誰堪罰 窄韻知難還欲鬮 ニ阮今朝酔何処 春深京洛酒家楼 菅茶山 |
【読み】 村居無く日に相求む 群賢と此に宴遊するを喜ぶ 繞砌軽煙(じょうせいけいえん) 花影乱れる 簾を隔て古木の鳥声幽(かすか)なり 大杯を行ら令む誰が罰(しおき)に堪えんや 窄韻(さくいん)の難きを知る還た鬮せんと欲す ニ阮今朝何の処にか酔わん 春深き京洛酒家の楼 |
繞砌・・・ 繞:めぐらす 砌:庭鬮:くじ(籤) ニ阮:竹林の七賢の阮籍と阮イを子璐と子蘭になぞらえている |
「次子璐月夜泛琵琶湖韻」 |
![]() 神辺町西中条高井 松井氏宅 |
天女祠前湖月清 湖心乗月棹空明 風来波浪生哀響 舟在琵琶絃上行 |
【読み】 天女祠前湖月清し 湖心月に乗じて空明に棹(さお)さす 風来って波浪 哀響を生じ 舟は琵琶 絃上在りて行く |
【大意】 良夜の湖にひかれ、天女祠前を船で行く。湖の中ほどに出るころには、月が愈々澄んで、櫓を操るごとに銀波がゆれる。折りしも一陣の風がたって、舷をたたくもの悲しい水音を聞いていると、やがて船は琵琶(湖)の舷の上を奏でつつ進むかと思われる。 |
天女祠…天女を祀った祠 空明…澄んだ水中に映る月影 |
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